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Art as Technology: Accelerating the East #1

テクノロジーとしてのアート:加速する東洋 #1

フランコ(ビフォ)ベラルディ
ヘレン・へスター
ボグナ・コニオル


どのように複雑なアイデアもその実践は現実にあり、生活空間と不可分に結びついています。 「テクノロジーとしてのアート」と題した本プログラムは、「テクノロジー(知の実装化)」の語源に立ち返り、公共に語りかける有識者=パブリックインテレクチュアルの姿を通じて、日々の生活と思考の変化を促すオンラインコロキアムです。

未来を予測する情報データによって、私たちの時間概念はどのように変化するのでしょうか?イデオロギー対立を超えて、どのような代替の地政学的未来を想像できるでしょうか?商品化と消費のプロセスに終わりはあるのでしょうか?—— 仮想空間の論壇に招かれた論者が、独自の研究分野から変化するいまを究明していきます。

1.
フランコ(ビフォ)ベラルディ
(思想家、メディアアクティヴィスト)
「不確定性の宇宙におけるテクノロジーと知識」1998/2021年
英語 日本語字幕付 15’34”

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資本からの自律・独立を目指した1970年代のイタリア・アウトノミア運動のなかでも、とくに革新的な思想と活動で知られた、ビフォことフランコ・ベラルディ。メディア・アクティビストのビフォが、1998 年に執筆したこの論考では、現代資本主義のなかでますます鍵となるテクノロジーと知識の関係性が紐解かれます。

マルクスの「機械についての断章」を皮切りとして、アウトノミアの思想家であり、新たな公共圏の創出につながりうる知性の運動を論じるパオロ・ヴィルノに加え、仮想世界のコミュニケーションのありようを批判的に検討するアーサー・クローカー、知識という生産物の所有不可能性を示唆するマネジメントのグルことピーター・ドラッカーらの議論を取り上げていきます。人間の解放を実現するとも期待されたインターネットは、「情報」の循環を著しく加速させはしましたが、遅延をもたらすという理由で、人間の存在や社会関係に不可欠な「意味」の領域を破壊的なまでに削り取ってきました。

ビフォは、90年代にみられた多大な期待に反して、テクノロジーが人間の知性と精神を虚脱させている現状に深い失望を吐露し、辱めれられた身体の反動として懐古型ファシズムが台頭していることを指摘します。資本主義と結合する限り、テクノロジーは、人間の知性・精神を労働力として包摂し、搾取の道具として機能するのです。著者は、こうした状況がもたらす人間の主観性や集団的無意識への影響を加味し、テクノロジーが解放の可能性を取り戻す方策について問いかけていきます。

論考(PDF)はこちら

2.
ヘレン・へスター
(ウェストロンドン大学ジェンダー・政治・テクノロジー学教授)
「望みを叶えるための時間:自由と必然について」2021年
英語 日本語字幕付 15’05”

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*HD配信ですので、安定した視聴環境でご覧ください。

人間は生命維持の手段として日々労働に打ち込みます。カール・マルクスは、「必然と外的目的により規定された労働が終わった彼方に、自由の領域が始まる」と言いました。労働時間の縮小や自己決定権がないものから解放するために、上司や職場を変えることで、外的制約や命令、あるいは労働時間の束縛から逃れられるかもしれませんが、しかしその先に本当の自由はあるのでしょうか?

ヘレン・ヘスターは、カール・マルクスの労働価値論をベースに、時間と欲望の文学理論で知られるマーティン・ヘグルンド、労働と収入を分離するベーシックインカムの草分け的提唱者であったアンドレ・ゴルツなどを引用しつつ、ポスト資本主義社会における自由と必然の問題を自由の概念をリフレーミングすることで読み解きます。

生産と消費の無限ループに依存する資本主義においては、単に権力関係を取り除くだけでは、本質的な自由の領域は広がりません。自由とは、むしろ政治に関与し、意志と責任とは切り離せないものであり、集団的、歴史的な産物であり、永遠に組み立てが必要な技術です。つまり自由とは、一人一人が人生を積極的にデザインし、意味を与えていく能力であり、望みを叶えるための時間なのです。

3.
ボグナ・コニオル
(ニューヨーク大学上海校 AI&カルチャーリサーチセンター)
「分裂したシンギュラリティー:冷戦後の加速主義」2021年
英語 日本語字幕付 20’56”



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*HD配信ですので、安定した視聴環境でご覧ください。

救世主か、果ては世界を破滅に向かわせる破壊者か━━人工知能が人類の叡智を超える時点や、私たち人間の生活に大きな変化をもたらすという未来予測の仮説は「シンギュラリティ」と呼ばれ、世界各地で議論を引き起こしてきました。

シンギュラリティの分裂を指摘するのは、ポーランド出身で現在は、上海を拠点に置く研究者ボグナ・コニオルです。彼女はシンギュラリティについて掘り下げるとき、例えば、政治実験を繰り返してきたポーランドの冷戦後の評価が西洋標準でのみ判断され、中国のサイバースペースはグレート・ファイアウォールの存在なくして語れないように、実際の地政学的問題を無視できないと指摘します。

資本主義もグローバル化もサイバースペースも、独占的な一点や時間軸の統一には向かわず、むしろ世界の分裂を促してきました。このプレゼンテーションでは、神秘体験という人智を超えた因果関係をヒントに、冷戦構造の資本主義・共産主義から加速主義の左派右派まで、独占と分断を続ける人為的な歴史観を問い直し、地政学的因果関係を批判的に分析します。

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テクノロジーとしてのアート:加速する東洋 #1

フランコ・ビフォ・ベラルディ、ヘレン・へスター、ボグナ・コニオル

[オンライン開催中]

Third Research Lab

*本イベントは日本国内でのみ、期間限定でご覧いただけます。


本イベントは、サードリサーチラボの企画により、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京の支援のもと開催されました。

「テクノロジーとしてのアート」
プロジェクトメンバー:
大坂紘一郎
三上真理子
飯島周多郎
日比野紗希
山形一生
Matthew Garret
肥髙茉実
小倉亜美
中西園子
Metahaven

Special Thanks:
入亮介
田中義久
Daryl Jamieson

主催:サードリサーチラボ

協賛:0-eA

助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京

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